NZでカフェ巡りをしていると、
コーヒー5ドルの存在について考える。
私はNZでバリスタをしていて感じるのだが、
売る側は、5ドルって安いと思ってしまいがちである。
(日本では500円だろうか。)
確かに、売る側からしたら、何百杯も売らないと自分達の給料にならないわけで、
さらにクオリティーの高いバリスタマシンは車が変えてしまうくらい高価である。
こんな高価なバリスタマシンで入れた、コーヒーが、5ドルなんて安いと感じてしまうのである。
私は決してそのような気持ちでコーヒーを作ったことはないが、
忙しく雪崩のように押し寄せる注文票を次々に、作って提供しているを繰り返していると、
1杯5ドルということを忘れそうになる時がある。
また、そんな高価なコーヒーマシンと完璧にローストされた豆を使っても、
バリスタの一瞬の気の緩みで、5ドルの価値を下げてしまう可能性があるのだ。
一方で自分がお客になった時は、
考え方がゴロッと変わってしまう。
イマイチなコーヒーが出てきた時には、5ドルもしたのになんだこれは。
と、美味しいか美味しくないかが全てになってくる。
コーヒーが美味しいと内装もおしゃれに見えるし、全てがこだわっているようにも見えてくる、
一方、コーヒーがイマイチだった場合は、すべてをネガティブに見てしまう。
そして、もう来ないと誓ってしまう。
美味しいコーヒーを飲むと、一瞬で疲れが吹き飛び、
幸せな暖かい気持ちに包まれる。
イマイチなコーヒーを飲んだ場合、
残念な気持ちに包まれる。
たった5ドルだが、お客さんからするとこれだけ違うのだ。
美味しいコーヒーだと毎日のコーヒーへの5ドルの投資は最高のものになり、
イマイチのコーヒーではそれが浪費になる。
だからこそ、人気のカフェには、お客さんがどっと押し寄せるのだろう。
バリスタとは、そんなセンシティブな職業なのだなぁ。
私はたまたま通りがかりに、発見したカフェで
そんなことを考えながら、
私も幸せで暖かい気持ちになれるコーヒーを提供できるバリスタにななろうと思った。